製品  PRODUCTS
X線光学と微細加工技術
X-ray optics and micro fabrication
X線ズームレンズ / X-ray zoom CRL

X線ズームレンズ / X-ray zoom CRL

X線ズームレンズは,単色の入射X線を集光する,複合屈折レンズ(CRL)を応用した製品です。
X線ズームレンズには,複数の集光レンズ素子がシリコン製スリップの先端に搭載されています。目的の焦点距離に必要のないレンズ素子は,ステッピングモーターで動かす偏心ディスクにより,X線ビームの光軸から外すことができます。

複合屈折レンズ(CRL)の集光コンセプト

複合屈折レンズ(CRL)の集光コンセプト
入射したX線は,複数の集光レンズ素子によって多段式に焦点へと集光される。レンズの素子数が増えると,焦点距離が短くなり,ビームサイズは小さくなる。

CRLの原理と標準品について

X線ズームレンズの集光コンセプト

X線ズームレンズの集光コンセプト
光軸上の集光素子数を増減させることで,以下2パターンの使用が可能:
(a) エネルギーを一定に保ったまま焦点の位置を変更(上図)
(b) 焦点位置を保ったままエネルギースキャンを行う


標準品仕様

エネルギー > 8 keV (10-40 keVが最適)
使用可能な光源 単色な放射光施設あるいはX線管
(バンド幅 ΔE/E=10^-4 to 10^-2)
ワーキングディスタンス > 30 mm
アパーチャサイズ 100-400 µm
集光サイズ 数µm (光源サイズ,ワーキングディスタンス,エネルギーによる)
集光形状 点集光あるいは線集光
レンズの調整・交換時間 約25 秒
外形サイズ 137 mm x 106 mm x 118 mm
重量 本体(ハウジングを含む,PCを除く): 1.2 kg,制御装置: 0.2 kg
PC要求仕様 Windows 8,Windows 10,Windows 11
アプリケーション例 回折,散乱実験を中心としたマイクロビームの形成,結像光学顕微鏡(FFXM)のオブジェクティブ等

X線ズームレンズ外観

X線ズームレンズ外観
1. CRL,2. ベンディングフィンガー,3. 偏心ディスク, 4. ストップロッド, 5-6. ステッピングモーター,7. スイングアーム, 8. エンドスイッチ, 9. ポテンショメータ,10. コネクタ

X線ズームレンズとPCのサイズ比較

X線ズームレンズとPCのサイズ比較
ズームレンズは非常に小型で軽量のため,スペースの限られた実験環境でも使用が可能



X線ズームレンズ 集光例

SPring-8 BL47XUにおける使用例です。エネルギーを変更した後も,微調整のみで集光位置を決定でき,縦横方向にマイクロ集光が実施できています。

SPring-8 BL47XUにおける集光事例

SPring-8 BL47XUにおける集光事例。ナイフエッジスキャン測定。集光ビームサイズは下の表を参照。
情報提供: JASRI 田尻寛男様,2022年10月


実験環境・実験結果

エネルギー 8 keV,12.4 keV,15 keV
光源 SPring-8 BL47XU
アンジュレータ (6.55 µm x 298 µm),非集光のダブルミラー使用
光源距離 49 m
ワーキングディスタンス 300 mm
集光結果(抜粋) Vertical x Horizontal
8 keV: 5.96 µm x 3.66 µm
12.4 keV: 6.27 µm x 3.36 µm
15 keV: 6.4 µm x 3.4 µm

製造者と実績

カールスルーエ技術研究所(KIT)・IMTの複合屈折レンズ(CRL)は,国内では2005年以来,SPring-8を中心に多数の納入実績があります。

CRLについて (当社サイト)
Zoom lens開発者による発表 (ドイツ語)