X線ズームレンズ / X-ray zoom CRL
X線ズームレンズは,単色の入射X線を集光する,複合屈折レンズ(CRL)を応用した製品です。
X線ズームレンズには,複数の集光レンズ素子がシリコン製スリップの先端に搭載されています。目的の焦点距離に必要のないレンズ素子は,ステッピングモーターで動かす偏心ディスクにより,X線ビームの光軸から外すことができます。
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複合屈折レンズ(CRL)の集光コンセプト |
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X線ズームレンズの集光コンセプト |
標準品仕様
エネルギー | > 8 keV (10-40 keVが最適) |
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使用可能な光源 |
単色な放射光施設あるいはX線管 (バンド幅 ΔE/E=10^-4 to 10^-2) |
ワーキングディスタンス | > 30 mm |
アパーチャサイズ | 100-400 µm |
集光サイズ | 数µm (光源サイズ,ワーキングディスタンス,エネルギーによる) |
集光形状 | 点集光あるいは線集光 |
レンズの調整・交換時間 | 約25 秒 |
外形サイズ | 137 mm x 106 mm x 118 mm |
重量 | 本体(ハウジングを含む,PCを除く): 1.2 kg,制御装置: 0.2 kg |
PC要求仕様 | Windows 8,Windows 10,Windows 11 |
アプリケーション例 | 回折,散乱実験を中心としたマイクロビームの形成,結像光学顕微鏡(FFXM)のオブジェクティブ等 |
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X線ズームレンズ外観 |
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X線ズームレンズとPCのサイズ比較 |
X線ズームレンズ 集光例
SPring-8 BL47XUにおける使用例です。エネルギーを変更した後も,微調整のみで集光位置を決定でき,縦横方向にマイクロ集光が実施できています。

SPring-8 BL47XUにおける集光事例。ナイフエッジスキャン測定。集光ビームサイズは下の表を参照。
情報提供: JASRI 田尻寛男様,2022年10月
実験環境・実験結果
エネルギー | 8 keV,12.4 keV,15 keV |
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光源 |
SPring-8 BL47XU アンジュレータ (6.55 µm x 298 µm),非集光のダブルミラー使用 |
光源距離 | 49 m |
ワーキングディスタンス | 300 mm |
集光結果(抜粋) |
Vertical x Horizontal 8 keV: 5.96 µm x 3.66 µm 12.4 keV: 6.27 µm x 3.36 µm 15 keV: 6.4 µm x 3.4 µm |
製造者と実績
カールスルーエ技術研究所(KIT)・IMTの複合屈折レンズ(CRL)は,国内では2005年以来,SPring-8を中心に多数の納入実績があります。
CRLについて (当社サイト)
Zoom lens開発者による発表 (ドイツ語)
[KIT/IMT and Microworks GmbH]