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X線光学と微細加工技術
X-ray optics and micro fabrication
LIGAプロセス / LIGA process and applications

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LIGA微細加工技術 (LIGAプロセス)とは

LIGAプロセスは,ドイツのカールスルーエ技術研究所/工科大学(KIT)にて発明された,高アスペクト比を持つ微細構造製造のための複合プロセスです。 X線リソグラフィと電鋳により,金属やポリマーの微細構造体を高精度,高アスペクト比にて実現します。
KITのスピンオフ企業であるmicroworks GmbHが,LIGAプロセスによる製品の開発と生産を担っています。


微細構造の例: X線回折格子

微細構造の例: X線回折格子
周期10 µm,厚さ200 µm,アスペクト比: 40を持つ電鋳前のポリマー構造体。金属製のX線回折格子を作製する前に使用する型構造。
■ 詳細ページ: X線回折格子

KITの放射光施設KARA (旧称ANKA)

KITの放射光施設KARA
KITキャンパス内にある第2世代放射光施設KARA (旧名称ANKA)は,LIGA微細加工用のビームライン3本の他,X線イメージングやX線顕微鏡向けのビームラインや設備を備えている。


LIGAプロセスの流れ

1. X線マスクの作製

1. X線マスクの作製
電子ビームまたはレーザーリソグラフィによる高精度のX線マスクを作製します。



2. レジストのX線リソグラフィ (Lithographie)

2. レジストのX線リソグラフィ (Lithographie)
基板上のフォトレジストにX線マスクの構造を転写します。放射光の高品質なX線によって,高アスペクト比(100程度),滑らかな側壁(<50 nm),自由な横方向形状を持つレジスト構造が実現します。

3. 電鋳 (Galvanoformung)

3. 電鋳 (Galvanoformung)
X線リソグラフィによって形成された微細構造を持つレジストに,電鋳(高精度のめっき)を施します。これにより,高アスペクト比の金属構造体が実現できます。下記に掲載している金属の微細構造は,ここまでの工程で作製されます。

4. ポリマーの成型 (Abformung)

4. ポリマーの成型 (Abformung)
電鋳で作製した金型を用い,ホットエンボスや射出成型によって,ポリマー製の微細構造を複製します。



LIGAプロセス アプリケーション例

LIGAプロセスにて作製された微細構造は,X線光学を中心に,研究機関,産業界ともに様々な分野にて使用されています。


X線分解能ターゲット (High contrast resolution targets for X-ray imaging

X線分解能ターゲット (High contrast resolution targets for X-ray imaging
高コントラストのX線分解能ターゲットです。最小幅0.3 μm,厚さ3 μm以上の金を X 線吸収材としており,工業用X線イメージング検査システムの性能評価に大きく寄与するものと考えられます。
詳細 (プレスリリース)


コーデッドアパーチャ

コーデッドアパーチャ(coded aperture,符号化開口)
・スケールバー: 150 µm
・最小線幅6 µmに対して金の高さ25 µm程度
・構造例: 最小線幅20 µm角に対して金の高さは400 µm程度まで可能
・基板やポリマーレジスト無しのフリースタンディング構造も実現可能
・アプリケーション: X線光源のマッピング等
・製造者: microworks GmbH

高アスペクト比メタル構造例: X線回折格子 (X-ray gratings for Talbot interferometry)

高アスペクト比メタル構造例: X線回折格子 (X-ray gratings for Talbot interferometry)
X線の吸収像,微分位想像,暗視野像が撮像できるタルボ干渉計,タルボ・ロー干渉計用の回折格子。高アスペクト比(例: 金の厚さ250 µm,線幅2.4 µm)の吸収格子,短周期の位相格子等を実現。
■ 詳細ページ: X線回折格子

高アスペクト比のポリマー構造例: X線レンズ (Compound refractive lens, CRL)

高アスペクト比のポリマー構造例: X線レンズ (Compound refractive lens, CRL)
SPring-8を始めとした放射光施設で多くの使用実績がある,単色X線を集光する複合屈折レンズ(CRL)。最大アパーチャは標準品で1.4 mm,カスタマイズ品は応相談。
■ 詳細ページ: X線レンズ

微細貫通孔: X線アパーチャ,基板無し

微細貫通孔: X線アパーチャ,基板無し
(a) マルチホール例 / X線マルチコリメータ
厚さ80 µmの金のメンブレン上に直径3 µmの高アスペクト円形貫通孔を規則的に多数配列。X線マルチコリメータや,微細加工装置の組み込みパーツとして使用。

微細貫通孔: X線アパーチャ,基板無し

微細貫通孔: X線アパーチャ,基板無し
(b) シングルホール例 / X線アパーチャ
厚さ200 µmの金のメンブレンの中心に,直径5 µmの高アスペクト円形貫通孔を一つ形成。放射光施設のX線アパーチャとして使用。

金のハニカムメッシュ構造

金のハニカムメッシュ構造
(本体) 500倍拡大のSEM画像: 6角形構造の内側にさらに6角形構造が形成されている。
(左上) 15,000倍拡大のSEM画像。金の構造幅は約0.4 µm,高さは4 µm。

金のチェッカーボード構造

金のチェッカーボード構造
周期35µm (メタル/スペース = 17.5 µm : 17.5 µm), 金の厚さは160 µm
アスペクト比: 約9


■ 金の微細メッシュ構造: 近赤外線偏光板

金の微細メッシュ構造: 近赤外線偏光板
金による周期的格子構造(近赤外線偏光板)と,それを重ねて発生させたモアレ縞。
偏光板の構造周期: 4.0 µm (水平方向)と8.0 µm (垂直方向),金の厚み: 3.0 µm。

■ X線テストストラクチャ

X線テストストラクチャ
形状: 厚さ30 µmの金のメンブレンに5~1,000 µmの貫通孔
用途: 放射光のビームサイズ測定(ナイフエッジ測定)


マイクロギア1

マイクロギア1
マイクロギア,時計部品と,ネブラデスクや研究所ロゴ等のデモパーツ。
スケールバー(黄線): 1 mm


マイクロギア2

マイクロギア2
ハーモニックドライブ歯車(高精度マイクロマニピュレータ向け,高速度伝達比,バックラッシュ無し)
構造高さ1,100 µm,構造幅: 30 µm
画像提供: micromotion GmbH, Mainz

マイクロギア3 (射出成型モールド)

マイクロギア3 (射出成型モールド)
高アスペクト比を持つ高精度の並行構造例。
ニッケル製マイクロギアアレイ (樹脂製射出成型パーツ用のモールド)。
構造: 高さ2,000 µm,歯車の構造幅: 35 µm


Ni電鋳と微細貫通孔

Ni電鋳と微細貫通孔
用途: ハイパースペクトルカメラ向けのNiアパーチャ
形状: 2.5 µmのギャップ,深さ180 µmの貫通孔
効果: キーストーン,スマイル効果(光学系の収差,ミスアラインメントから生じる歪み)の大幅な削減
A Fridman et al., Optics Express 23(10):13659, 2015