液滴によるサンプルのカプセル化
微小液滴(マイクロドロップレット)は,細胞培養やPCR等の幅広い分野に応用可能な,マイクロ流体技術の代表的アプリケーションの一つです。近年注目を集めている微小液滴の応用例の一つとして,サンプルのカプセル化が挙げられます。 特定の成分や試薬,細胞等を効率的に液滴内に閉じ込め外部環境と分離することで,医薬薬効成分(API)の標的への送達や,細胞やバクテリアの分析などの様々な実験が可能となります。 Fluigentでは,このようなアプリケーションに適用可能な,圧力の精密制御による高精度なマイクロカプセルの生成手法を提案しています。
ダブルエマルション内に封入されたイースト
Image courtesy of Marijke Luttik, Sagarika B. Govindaraju and Rinke van Taten-hove-Pel (Delft University of Technology, The Netherlands)
粒子生成デバイスRayDropを用いたカプセル化手法
Fluigentでは,圧力制御式送液システムFlow EZと,粒子生成デバイスRayDropを使用したカプセル化手法を提案しています。
従来の液滴生成手法であるバルク混合(バッチ式)では,生成される液滴のサイズ分布が広い,ダブルエマルション生成が容易でない,カプセル化効率が低いなどの問題がありました。Fluigentの送液装置による精密な送液制御とRayDropの独自のノズル構造によって,カプセル化効率の大幅な上昇と,粒径の均一化の両立が可能です。
圧力制御式送液システムFlow EZ |
粒子生成デバイスRayDrop |
Fluigentのマイクロ流体技術を用いたカプセル化の利点
カプセル化効率と粒径制御の向上
マイクロカプセルを生成する場合,従来のバッチ式では,貴重なサンプルやAPIの損失が大きくなりがちですが,マイクロ流体技術を用いることでカプセル化効率が向上し,サンプルの損失を削減できます。
また,従来法では粒径の制御が難しくサイズ分布が広いのに対し,マイクロ流体手法では単分散なエマルションやマイクロカプセルを生成することが可能です。
異なる生成手法によるマイクロエマルションの比較 (左: 従来方式(バッチ式),右: Fluigentの送液システムと粒子生成デバイスRayDropによる手法) 出展: Fluigent White Paper: Droplet-Based Microfluidics
機能
カプセル化された成分は,特定部位を標的として送達することが可能です。pHの変化や酵素をトリガーとして,薬物の放出を制御することができます。
また,揮発性物質や水溶性成分,油溶性成分等,多様な物質を安定してカプセル化することができます。
バイオ分野への応用
細胞,バクテリア,酵母等を,生体適合性のあるシェル層で保護したままカプセル化することも可能です。
Water-in-oil-in-water (W/O/W)型のダブルエマルションの場合,キャリア液は水性なので,フローサイトメトリーやセルソーター等の装置に使用することができます。
RayDropによるダブルエマルション生成。アプリケーションに応じて,連続相,シェル相,コアに使用する各液体を自由に組み合わせることが可能
アプリケーション例
・APIの特定部位への送達制御
・サプリメントや薬の苦み・臭味のマスキング
・細胞カプセル化によるシングルセル解析
・フローサイトメトリーを用いたハイスループット細胞スクリーニング
・異なる複数の物質の共カプセル化
関連アプリケーションノート
バクテリアとイーストのカプセル化
Flow EZとRayDropを用いて,W/O/Wダブルエマルションの粒径を均一に制御しながら,エマルション内にバクテリアやイーストを封入する手法を紹介しています。粒径を60 μm以下に制御することで,フローサイトメーター等の分析装置にも適合し,微生物のハイスループット解析やスクリーニングへの応用が可能になります.
装置セットアップ例 |
ダブルエマルションに封入されたバクテリア |
アプリケーションノート (バクテリアとイーストのカプセル化)
PLGAマイクロカプセル
新しいDDS (drug delivery system)として注目を集めているPLGA (乳酸・グリコール酸共重合体)マイクロカプセルは,薬剤の長期徐放システムやワクチンアジュバント等の様々なアプリケーションに応用することができます。Fluigentの送液・エマルション生成システムで,単分散のPLGAマイクロカプセルを容易に生成することが可能です。
RayDropによるダブルエマルション生成の様子 |
RayDropによる生成直後のダブルエマルション |
多重エマルションのカプセル化
従来のバルク混合では,一つの液滴内に複数の小さな液滴を内包させる多重エマルション構造の制御は困難でした。Fluigentの提案するマイクロ流体技術を用いた手法では,サイズや構造を制御した多重エマルションの生成が可能です。
接触すると反応してしまう複数液体の共カプセル化やマイクロリアクターとしての応用など,医薬分野への展開が期待されます。
多重エマルションの生成 |
多重エマルションを内包する液滴の例 |
Fluigent製品 リンクと資料
製品カタログ / Catalogue
Fluigent製品 アプリケーションノート,ウェビナーリンク,発表事例 (publication list)

