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X線レンズ

硬X線を集光する屈折式のレンズを提供いたします。レンズのコンセプトは大きく分けて二つあり,一つは集光やイメージングに用いられる「複合屈折レンズ」で,もう一つは高フラックス集光の「X線プリズムレンズ」です。

1. 複合屈折レンズ(Compound Refractice Lens, CRL)

X線の屈折率は1よりも小さいため,可視光用レンズとは逆の両凹型の形状をもつレンズとなります。一つ一つのレンズエレメントによる屈折角は非常に小さく焦点距離は長いものの,最大で数百ものエレメントを並べることで,数mmの短い焦点距離も実現できます。


レンズエレメント(灰色)に集光される,X線(赤)の模式図(1次元集光)

複合屈折レンズの主なメリット


既存の集光製品と比較して,時間コスト・費用コスト共に大幅に削減できます。

扱いが容易

ミラーと異なり,光軸が変わりません。また製品が非常にコンパクトであり,調整にかかる時間をに短縮できます。

同一基板に複数のレンズ

ひとつの製品の中に,16種類ものレンズを搭載できます。入射光サイズ,希望集光サイズ,希望焦点距離に基づき,事前に仕様を調整します。

抜群の耐久性

大変にX線耐性が良く,超長時間の照射に耐え得ます。5年間ビームラインに常駐実績あり。

提供製品


・線集光のレンズ(1次元集光)
X線の片側(例: 水平方向)のみを集光するレンズです。製品のアパーチャに当たる入射光を,線状に集光します。

・点集光のレンズ(2次元集光)
入射光の縦方向と横方向の両方を集光するレンズで,1次元集光のレンズを2組交差させた構造です(下図)


レンズエレメント(灰色)に集光される,X線(赤)の模式図(2次元集光)。1組目で一方向を集光し,2組目でその直角方向を集光する。

レンズ仕様(2次元集光レンズ標準品の場合)
材質SU-8(樹脂)
レンズプレートサイズ65 mm x 32 mm x 1 mm
レンズサイズ60 mm x 20 mm x 0.6 mm
集光タイプ点または線集光選択可
エネルギー範囲5 - 100 keV選択可
焦点距離10 - 1,000 mm程度選択可
アパーチャ最大369 μmで8種類※特注品は応相談
照射耐性> 8.3 GJ/kg at 28 keV
インテンシティゲイン最大50,000以上
応用分野: 屈折,分光,コンピュータトモグラフィ,X線顕微鏡
販売実績: JASRI,JAMSTEC,JAEA,東北大学,ひょうご科学技術協会(2011年3月現在)

応用例1: 放射光施設における一般的な利用例
・アンジュレータ光をグラッシーカーボンレンズで集光した光を,さらに5 µm x 5 µmに集光
・ピンホール仮想光源からの光を1 µm x 1 µmに集光

応用例2: コリメータとして利用
1次元用のレンズ2枚を用いて,シンクロトロン放射光を平行化し,発散が2 µrad未満の平行ビームをつくる例


1次元用集光レンズを組み合わせた,コリメータとしての使用例。コヒーレント光(水色)が,レンズ(茶色)からオーバーフォーカスされ,集光コヒーレント光となる。

2. X線プリズムレンズ

X線プリズムレンズは,レンズの透過度が高く,将来コンデンサレンズとしての使用を視野に入れられる,新開発の集光用レンズです。ここでは,プリズムレンズ(X-ray prism lens: line focus)と,X線ロールドプリズムレンズ(X-ray rolled lens: point focus)を紹介いたします。

過去のレンズからの変遷


これまで,レンズの進化の過程では,屈折面を増加させる一方で,吸収を減らしています。プリズムレンズでは,フレネルレンズパーツを,およそ同じ強さの偏向を持つ三角のプリズムに置き換えています。これにより,大きな屈折角と大きなアパーチャを実現します。



上図 レンズの変遷
1. 円状のレンズの球面収差を解消するために,放物構造のレンズが開発された
2. フレネルレンズ: 放物構造レンズの透過度をさらに高めるために作られた
3. キノフォームレンズ: レンズの透過度を高めるために作られた(フレネルのパーツを中心に集めた方)
4,5. プリズムレンズ: フレネルレンズパーツを,およそ同じ強さの屈折率を持つ三角のプリズムに置き換えた
プリズム一つ一つが,集光に貢献している

下図 プリズムレンズの集光模式図(左から右へとX線が集光される例)



プリズムレンズ仕様の例(理論値)


Aperture [µm]2,5003,4001,570
Vertical aperture [µm]100-150100-150100-150
Energy [keV]6262113
Intensity gain3.504.082.36
Working distance [mm]4,8004,8004,800

1次元集光用プリズムレンズの仕様例

Aperture [µm]1,0001,0001,5001,500
Vertical aperture [µm]1,0001,0001,5001,500
Energy [keV]25502550
Intensity gain30-6015-3570-14040-82
Working distance [mm]1,3001,3001,3001,300

2次元集光用プリズムレンズの仕様例


プリズムレンズの想定応用例。X線顕微鏡にイメージングレンズとして設置し,ナノフォーカスを恒常的に実現

販売手続き


X線レンズの販売に際し,集光シミュレーションを製造元にて行います。下記例を中心にお客様の使用環境を詳細に伺い,実現可能性の調査を致します。


ユーザ環境・希望仕様調査の例
・光源の種類 (アンジュレータ,ウィグラー,X線管)
・仮想光源の種類と位置,サイズ
・ビーム特性 (入射光サイズ,エネルギー)
・レンズと線源の間にある光学系部品 (コリメータ,ミラー,etc)の種類
・上記におけるビームのサイズ
・必要な焦点距離

3. FAQ

レンズの耐用年数

レンズは,非常に頑丈なネガティブレジストである,SU-8(エポキシ樹脂)からできています。X線の透過性に優れ,照射ダメージに対して安定性があるため,非常に長い間使用することができます。お客様の中には,2006年初頭から2011年初頭まで常設された方もいらっしゃいます。定量値は,順次集計していく予定です。

製造者と実績

【製造・開発】 カールスルーエ技術研究所(旧"ANKA社"を併合)
【製造技術】 シンクロトロン放射光施設「ANKA」,ディープX線リソグラフィ法
【納入実績】 本文参照