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マイクロ流体デバイス
Microfluidic Devices
マイクロ流体チップ: POCT (point of care testing)

マイクロ流体デバイスとPOCT

POCT (point-of-care testing)あるいはPOC (point-of-care diagnostics)では,診断結果を得るまでの時間が短縮できる迅速診断用カートリッジが,消耗品として用いられます。様々なアッセイを1つのプラットフォーム上に搭載でき,量産時に価格を抑えることができる,ポリマー製マイクロ流体チップの有用性に注目が集まっています。

バイオアッセイプロトコルのマイクロ流体デバイスへの統合

microfluidic ChipShopでは,ポリマー製のマイクロ流体デバイス上にバイオアッセイを統合したPOCT向けのカートリッジ製造を,デザインから試作,OEM生産まで一貫して対応しております。

当ページでは,POCTカートリッジに搭載できるマイクロ流体機能の例と,それらを組み合わせた実例を紹介しています。

マイクロ流体チップ上で行うことのできるバイオ分析,診断等の典型的なプロセス

マイクロ流体チップ上で行うことのできるバイオ分析,診断等の典型的なプロセス


マイクロ流体チップとプロトコルステップ

試料調製

磁性ビーズによるDNA精製,抽出

ChipGenie edition Pとチャンバチップ

ChipGenie edition Pとチャンバチップ
マイクロ流体チップ内で全血サンプルから溶解させた白血球からのDNAが,チップに注入した磁性ビーズと結合する。その後,洗浄されたDNAを磁性ビーズから抽出することができる。

全血から分離されたDNAであるシングルコピー遺伝子増幅PCR産物のゲル電気泳動分離

全血から分離されたDNAであるシングルコピー遺伝子増幅PCR産物のゲル電気泳動分離
左からサイズマーカー(M),従来のDNAから得られた産物(1),microfluidic ChipShopのChipGenie edition Pを用いて分離された試料(2と3),DNAを含まないノンテンプレートコントロール(4)

全血からのオンチップ血漿精製

[動画] 全血からのオンチップ血漿精製
マイクロ流体チップ上での血漿の精製が可能な,血漿精製チップ[973]の使用例と特徴を紹介。チップ上のサンプリング容器に全血を注入後,オンチップ血漿精製に最適化されたメンブレンを介して血漿が精製される。

動画内で使用されている製品

プロダクトコード 製品名 Fluidic number 個数
10001338 血漿精製チップ オンチップ分析用 Topas (COC) 973 1
10001094 タンク (200 μL) キャップ付き,10個入り 933 1

試料調製 その他の例
メンブレンフィルタチップとバッファによるサンプルの精製
・全血からのDNA抽出
・全血からのRNA抽出
詳細はお問い合わせください。


DNA増幅: オンチップPCR

マイクロ流体チップにPCRを行うチャンバや流路を統合することができます。microfluidic ChipShopが販売するChipGenie edition TSOは,マイクロ流体チップ上でリアルタイムPCRを実現する小型のサーマルサイクル式PCRシステムです。DNAに反応する蛍光染料を測定することで,増幅の急激な上昇をリアルタイムで確認することができます。

PCRマイクロ流体チップの例 / 反応チャンバチップ[750]

PCRマイクロ流体チップの例 / 反応チャンバチップ[750]
チャンバボリューム5 µL,チャンバ数16個のタイプ

[動画] オンチップPCRシステム / ChipGenie edition TSO
microfluidic ChipShopによる,マイクロ流体チップを用いる高速小型PCR装置のデモビデオ

■ 関連ページ: PCR


検出

マイクロ流路を用いたPOCTカートリッジに統合できる検出機能と,それらを評価するマイクロ流体チップの例を紹介します。

シリコンセンサ

センサ搭載用チップ[673]

センサ搭載用チップ[673]
Redbud Labsの磁性ピラーミキサーMXRを搭載することができる。
■ 詳細ページ: マイクロ流路とセンサの統合

センサ搭載用チップ[862]

センサ搭載用チップ[862]
接着テープを使用してセンサを搭載する例


蛍光検出

オンチップPCRシステム / ChipGenie edition TSO

オンチップPCRシステム / ChipGenie edition TSO
温度ゾーンの温度,加熱・冷却速度を制御できる。リアルタイム検出用に蛍光光学ユニットを搭載。
■ 詳細ページ: PCR

ChipGenie edition TSO測定例

ChipGenie edition TSO測定例
PCRシステムChipGenie edition TSOと付属ソフトウェアを使用して得られたPCRの解析結果

比色検出

IFSA 1 イムノアッセイチップ[249]

IFSA 1 イムノアッセイチップ[249]
試料リザーバ,フリットによる比色検出用フリット,廃液チャンバを備えている。
参考文献

免疫濾過チップと,ポリHRP/TMB法を使用した市販の免疫濾過フリットの光学密度比較

免疫濾過チップと,ポリHRP/TMB法を使用した市販の免疫濾過フリットの光学密度比較
横軸はCRP [ng/mL],チップに照射した光は525 nm


チップ上の廃液保管 / 試薬保管

廃液チャンバをマイクロ流体チップ上に一体成型できます。また,試薬を封入し必要なタイミングでチップ内のマイクロ流路に流し込むことのできるブリスターも提供しています。

廃液チャンバチップ[272]

廃液チャンバチップ[272]
廃液リザーバはそれぞれ約500 μL の取り込みが可能。防水性と通気性を兼ね備えたメンブレンを搭載しており,廃液リザーバによるコンタミを防止できる。

ブリスター(銀色の部分)と外付けのタンク

ブリスター(銀色の部分)と外付けのタンク
マイクロ流体チップ上で試薬を長期保管し,必要なタイミングで流路内に放出させることができる。
■ 詳細ページ: ブリスター(チップ上の試薬保管)

マイクロ流体コンポーネントの統合例

microfluidic ChipShopが持つ様々なマイクロ流体機能を組み合わせ,試料導入,DNAの抽出とPCRによるDNA増幅,試薬との混合と検出等をチップ上で行うことができます。
以下のチップはmicrofluidic ChipShopが行ったPOCT向け製品の開発例です。CanDoチップの黒いパーツはシリコンセンサです。このように,お客様の開発したセンサをマイクロ流体デバイスに搭載することができます。

チップ上のマイクロ流体コンポーネントを制御してアッセイの結果を読み取る検出装置も,microfluidic ChipShopにて製造いたします。


カスタマイズチップ / POCTカートリッジの例

CanDoチップ

CanDoチップ
シリコンフォトニックセンサを統合したDNA増幅,検出用マイクロ流体チップ
Integrated cartridge for DNA amplification and subsequent detection using a silicon photonic sensor. EU-FP7 project CanDo, No. 610472

IMRAチップ

IMRAチップ
液体試薬と乾燥試薬を統合し,電極,回転バルブ,PCRチャンバを統合したマイクロRNA (miRNA)分析チップ
Integrated Microfluidic Chip with Complete Sample Preparation for miRNA Analysis, FKZ 0316078A, BMBF Project IMRA

汎用診断システム ChipGenie edition Dx

通常,マイクロ流体技術を用いたPOCT診断システムは,ある1つの疾患に関する分子診断検査専用に設計されているため,開発コストが高くなり,操作のトレーニングも多岐にわたります。
microfluidic ChipShopは,マイクロ流体チップでPOCT診断のできるプロトコルの開発プラットフォーム(チップカートリッジと検査装置)を提供いたします。
共通の形状を持つ標準化されたチップと装置を用いて,診断したい疾患向けのプロトコル,チップカートリッジのデザインと製造,検査装置の開発と製造を承ります。

事例

サンプルを入れると解析結果が出力される「サンプル・イン/アンサー・アウト」型のコンセプトに則ったマイクロ流体カートリッジ構造を用いて,分子診断検査(ヒト型結核菌(MTB)),イムノアッセイ(HIV p24),生化学的検査(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT))用のシステムを開発し,非臨床のバリデーションを行いました。

ChipGenie edition Dx向けカートリッジ例

ChipGenie edition Dx向けカートリッジ例
装置とカートリッジに,光学的,電子的な接続が全て組み込まれている。またコンタミ防止のため,アッセイに必要な試薬は全て乾燥,凍結乾燥または液体の状態でカートリッジ上に搭載されている。チップはアッセイに応じてカスタマイズされる。

アッセイ開発プラットフォームChipGenie edition Dx

アッセイ開発プラットフォームChipGenie edition Dx
左記のチップカートリッジに対応した診断システム例。エンドユーザがサンプル導入とカートリッジの挿入を行うと,装置がサンプルの検出と病原体の同定を行う。装置はアッセイに応じてカスタマイズされる。

マイクロ流体チップの個々の機能についてはこちら